海外のサイトはどう届く?国際通信・海底ケーブル・CDNの仕組み

30秒でわかる答え

国際的な通信網は、国内外のネットワークをつなぎ、海外のサイトや動画、クラウド、通話のデータをやり取りするために使われます。海を越える代表的な経路には海底ケーブルがあり、海外企業のサービスでも一部のデータは近い配信拠点から届く場合があります。

1区間ずつ進む

海外のサイトに届くまでの道

海外のサイトを開いたときの代表的な道を、手元から順にたどります。

  1. あなたのスマホやパソコン

    暖かなラボのノートパソコンでページを開き、通信を表す小さな光が送り出される様子

    URLを開くと、端末は相手の場所を調べ、通信の小さなまとまりを送り出します。

  2. 家や職場のルーター

    手元の端末からWi-Fiでルーターへ届き、その先へケーブルで続く通信の様子

    Wi-Fiやケーブルを通って、まず家や職場のルーターへ進みます。

  3. 国内のネットワーク

    離れた町の通信拠点どうしをつなぎ、国内を進む通信の模式図

    回線事業者やプロバイダーのネットワークを進みます。相手が国内にあれば、海を渡らずに届くこともあります。

  4. 陸揚げ局

    陸側の通信網と海底ケーブルが、海岸の陸揚げ局でつながる断面の模式図

    海外へ向かう通信は、国際的な接続点や、海底ケーブルが陸に上がる陸揚げ局の方向へ進みます。

  5. 海底ケーブル

    海底の地形に沿って続くケーブルを通り、通信が海を越える断面の模式図

    海底ケーブルなどの長い道を通って、国や地域をまたぎます。

  6. 海外のネットワーク

    海を越えた側の陸揚げ局から、複数の通信拠点を経てデータセンターへ続く模式図

    海を越えたあとも、相手の国や地域の通信事業者やデータセンターなど、いくつものネットワークをつないで進みます。

  7. 海外のサーバー

    データセンターのサーバーが要求を受け、返事をネットワークへ送り返す様子

    データセンターやクラウドのサーバーに届きます。返事も、また道をたどって画面まで戻ってきます。

いつも同じ道を通るとは限りません。よく使われる画像や動画は、近い配信拠点(CDN)から返ってくることもあります。

海外サイトを見るとき、画面ではURLを入れてページを開くだけに見えます。けれど実際には、画面のむこう側で複数のネットワークがつながり、相手のサーバーまでデータを運んでいます。Webページを見る仕組みと、その土台の通信網は、Webとインターネットの違いで分けて確認できます。

この先では、第37話「国をまたぐ通信はどこでつながる?」の世界地図をたとえにしながら、海外サイトに届く道を順に見ていきます。

TERM PRIMER

先に知っておく言葉

国際通信
国や地域をまたいでデータをやり取りする通信です。
海底ケーブル
国と国のインターネット通信を海の底でつなぐ大きなケーブルです。
陸揚げ局
海底ケーブルが陸へ上がる場所にあり、国内のネットワークへつなぐ施設です。
サーバー
データを保存したり、ほかの端末に届けたりする役割を持つコンピューターです。
CDN
世界中の近い場所から画像や動画などを届けやすくする配信ネットワークです。
レイテンシ
データが届くまでなどにかかる遅延時間です。片道・往復など、測る区間を分けて考えます。

国際的な通信網はどのように利用されているのか

国際的な通信網は、国の中のネットワークだけで完結しない通信に使われます。「何のために使うか」と「どんな道を通るか」を分けて見ると、全体がつかみやすくなります。

何のために利用されているか

わたしたちが毎日ふれている場面には、次のようなものがあります。

  • 海外のサイトやニュースを読む
  • 海外のサーバーにある動画や音楽を再生する
  • クラウドサービスに預けたファイルを開く
  • 海外にいる相手とビデオ会議や通話をする
  • オンラインゲームで海外のプレイヤーとつながる
  • 決済や予約の情報をやり取りする

見た目はどれも別のサービスですが、中身は同じ形です。海外にある相手のコンピューターへデータを届け、返事を受け取る——国際的な通信網は、そのやり取りを成り立たせるために利用されています。

どんな道を通るか

海を越える道の具体例は、海底ケーブルの仕組み を横に置くと見えやすくなります。海外のサーバー、海外のクラウド、海外の配信拠点などへ向かう場合、通信は国や地域をまたいで進みます。

代表的な流れは、冒頭の「海外のサイトに届くまでの道」で見た7つの区間です。端末からルーター、国内のネットワーク、陸揚げ局、海底ケーブル、海外のネットワークを通って、サーバーに届きます。

実際の経路は、サービス、契約、時間帯、地域、CDNの有無によって変わります。いつも同じ一本の道を通るとは限りません。

ユイ

海底ケーブルで海を越えたあと、通信はどうやって相手の国の中を進むんですか?

ピコ

国境で一つの大きな線になるのではなく、いくつものネットワークをつないで進むんだ

イト

世界地図の上で道案内を見る感じだね

海外サイトに届く基本ルートと流れ

海外サイトを開くとき、最初に画面へ見えるのはブラウザとURLです。その裏で、端末は相手の場所を調べ、通信の小さなまとまりを送り出します。

国内のネットワークを通ったあと、海外へ向かう必要がある通信は、国際的な接続点や陸揚げ局の方向へ進みます。そこから海底ケーブルなどの長い道を通り、海外側のネットワークへ入ります。日本側の陸揚げ局が実際にどのあたりにあり、なぜ一か所に集めていないのかは、海底ケーブルは日本のどこに上がるか で立地ごとに整理しています。

海外側に入ったあとも、すぐに目的地へ着くとは限りません。相手の国や地域のネットワークを進み、データセンターやクラウドの設備、サーバーに届きます。相手の置き場所については、サーバーはどこにある?で説明しています。

イトとピコが、端末から国内ネットワーク、海の道、海外サーバーへ進む通信の段階を見ている
海外サイトへの通信は、家の中から国内の道、海の道、海外側の道へ順番につながっていきます。

たとえば、国内の駅から港へ向かい、船で海を渡り、海外の駅から目的地の図書館へ向かうような道です。たとえでは移動の順番が見えますが、実際には通信事業者やサービス側の設計が組み合わさります。

海底ケーブルと陸揚げ局が国際通信をつなぐ

海底ケーブルは、海外へ行く大きな道です。けれど、海底ケーブルを抜けたあとにも道は続きます。海の道とは別に空を通る経路は、衛星インターネットはなぜ空から届くかで見ていきます。

海外側では、通信事業者、データセンター、クラウド、大学や企業のネットワークなど、さまざまなネットワークがつながっています。国際通信は、それらを一つずつ通って相手に届きます。

このとき、どの道を通るかは、通信の経路案内の仕組みで決まります。初心者の段階では、細かい技術名を丸暗記するより、「ネットワーク同士が接続し、宛先へ向かう道を選んでいる」と見れば十分です。

ユイとイトとピコが、海を越えた後も複数のネットワークを通って目的地へ進む様子を見ている
海を越えた後も、通信は相手側の複数のネットワークを通って目的地へ進みます。

マコト

海外に着いたあとも、相手のネットワークの中を進むんだね

ピコ

そう。海を越える道と、国の中を進む道を分けると見えやすいよ

海外サイトでもCDNの近い配信拠点から届く場合

海外企業のサービスでも、毎回遠い国の本社サーバーへ行くとは限りません。

一つのページでも、文章、画像、動画がすべて同じ場所から届くとは限りません。近い拠点の控えを使う内容と、元のサーバーに確認する内容が分かれる場合があります。サイトの運営国、実際の配信元、通った経路は、それぞれ別の情報です。

よく使われる画像、動画、ファイルなどは、利用者に近い配信拠点から返される場合があります。この仕組みに関わる言葉がCDNやエッジサーバーです。

たとえば、海外の図書館にある本の控えを、日本に近い分館に置くようなものです。利用者は海外サービスを使っていても、実際に受け取るデータの一部は近い場所から届くことがあります。

ユイとマコトとピコが、遠いサーバーと近い配信拠点から届くデータの違いを比べている
近い配信拠点が使われると、海外サービスでも一部のデータを近い場所から受け取れる場合があります。

そのため、「海外サービスだから毎回遠くて遅い」とは言い切れません。どのデータをどこから受け取るかは、サービスの設計や利用する環境によって変わります。

海外通信が遅く感じる理由

海外通信で遅さを感じる場合、原因は一つではありません。

距離が長いと、往復時間が増えやすくなります。これはレイテンシやpingの値に現れることがあります。海外ゲーム、オンライン会議、遠いクラウド操作などでは、返事の遅れが体感に出やすい場合があります。

ほかにも、次の条件が関係します。

  • 海底ケーブルや国際回線の経路
  • 途中のネットワークの混雑
  • サーバー側の混雑やメンテナンス
  • CDNや近い配信拠点の有無
  • 家のWi-Fiやルーターの状態
  • 端末やアプリの処理

国際通信だから遅い、とすぐ決めるより、どのサービスで、どの時間帯に、どの端末で遅いのかを分けて見る方が実際の確認に近づきます。

トラブル時に見る場所

海外サイトや海外サービスがうまく動かないときは、近い場所から順番に見ます。

見る場所確認すること
端末・アプリ別のブラウザや端末でも同じか
Wi-Fi・ルーター家の中の通信だけで遅くなっていないか
国内回線ほかの国内サイトも遅いか
対象サービス公式障害情報やメンテナンス情報があるか
海外経路海外サービスだけ遅いか、時間帯で変わるか

利用者が国際回線を直接直すことはできません。けれど、自分の環境か、サービス側か、経路の可能性があるのかを分けると、むやみに設定を変えずにすみます。

国際通信確認ワークとクイズ

海外サービスを一つ思い浮かべて、次の空欄を埋めてください。

使っているサービスは、______です。
サーバーや配信拠点が海外にある可能性は、高い / 低い / 分からない のうち______です。
まず確認する場所は、端末 / Wi-Fi / 国内回線 / サービス側 / 海外経路 のうち______です。

答えの例:

  • 使っているサービスは、海外のクラウドストレージです。
  • サーバーや配信拠点が海外にある可能性は、分からないです。
  • まず確認する場所は、端末とWi-Fiです。

Q1. 国際通信は海底ケーブルだけで決まりますか?

A. いいえ。国内ネットワーク、陸揚げ局、海底ケーブル、海外ネットワーク、サーバーなどがつながって届きます。

Q2. 海外サービスはいつも遠いサーバーから返事が来ますか?

A. いいえ。CDNや近い配信拠点から一部のデータが返る場合があります。

Q3. 海外サイトが遅いとき、最初に何を分けますか?

A. どの端末、どのサービス、どの時間帯で遅いのかを分けます。家の環境とサービス側、経路の可能性を順番に見ます。

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国際通信は、世界をまたぐ一本の魔法の線ではありません。国内の道、海の道、海外側の道、サーバー側の設備がつながった結果です。画面のむこう側の地図を分けて見ると、海外サービスの遅さやつながり方も落ち着いて考えられます。

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自分の言葉で説明してみよう

「国際通信を、国内ネットワーク、海底ケーブル、海外ネットワーク、サーバーに分けて説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。