キャッシュの仕組み|手元の控えを再利用する
黒板に書かれた宿題をノートに写しておけば、何ページだったか忘れても、席で確かめられます。ただし、先生が黒板を書き直しても、ノートの内容までは変わりません。
この「写して使う便利さ」と「古い写しが残る理由」を、下のボタンで試してみましょう。
黒板の宿題が変わったら、ノートはどうなる?
最初は黒板もノートも「計算ドリル12ページ」です。黒板だけ13ページに変えてから、ノートを見てみましょう。
黒板12ページ
ノート12ページ
どちらも12ページです。黒板を変えずに確認した場合も試せます。
変更がなければ、今のノートをそのまま使えます。変わっていたら、新しい宿題のページを書き直します。変更を確かめることと、全部写し直すことは別です。
この体験は「元の情報と保存した控え」の関係を表しています。Webでは保存のルールに応じて再利用や変更の確認が行われ、毎回確認するとは限りません。ボタンを押しても、端末の保存データは変わりません。
漫画でわかるキャッシュ|便利な控えに古い情報が残る理由
宿題は12ページ? ノートと黒板が違う! 全4ページ
学校の宿題にたとえてみましょう。黒板に書かれた「計算ドリル12ページ」を、イトがノートに写します。ところが、あとから宿題が変更されて……。
画像を押すと拡大できます。+/−で大きさを変え、拡大中はドラッグして読めます。
1 / 4宿題は何ページ? 黒板へ見に戻るイト
学校で先生が伝えた宿題は、計算ドリル12ページ。イトは席へ戻ると、何ページだったか忘れてしまいました。

1ページ目のセリフ
- 教室。髪を低くまとめ、眼鏡とレンガ色のベストを着けた女性の先生が黒板を示す。黒板には「算数の宿題・計算ドリル・12ページ」。
- 先生「今日の宿題は、計算ドリル12ページです。」
- 席へ戻ったイト「あれ、何ページだっけ?」
- 黒板の近くまで戻ったイトの心の声「また見に来ちゃった。」
- ピコが机の紺色のノートを示す。「ノートに写しておこうよ。」
2 / 4ノートに写せば、図書室でも確かめられる
イトは黒板の宿題をノートに写し、計算ドリルと一緒に図書室へ持っていきます。

2ページ目のセリフ
- イトの肩越しに手元が見える。机に置いた紺色の綴じノートの右ページへ「計算ドリル・12ページ」と写す。
- イト「12ページ、と。」
- イトが紺色のノートと緑色の計算ドリルを閉じて持ち、図書室へ入る。
- 図書室の机で、ノートの12ページという控えを指して確かめる。イト「ここで確かめられる!」
- イトが計算ドリルに取りかかる。ピコ「黒板まで戻らなくていいね。」
3 / 4黒板は13ページ。でもノートは12ページのまま
イトが図書室にいる間に、先生が黒板の宿題を訂正しました。離れた場所のノートには、その変更が伝わりません。

3ページ目のセリフ
- 教室の黒板はまだ計算ドリル12ページ。同じ女性の先生が消しゴムを手に気づく。
- 先生「あ、宿題は13ページだった。」
- 先生が黒板を「計算ドリル・13ページ」へ書き直す。
- 図書室では、イトのノートは12ページのまま。ピコ「写したノートは、12ページのまま。」
- 教室へ戻ったイトが黒板の13ページを見つける。「あれ? 黒板は13ページ?」
4 / 4元の情報を確かめ、変わった控えを直す
イトは先生に宿題を確認し、机のノートを12ページから13ページへ直します。

4ページ目のセリフ
- 黒板は計算ドリル13ページ。イトが女性の先生へ尋ねる。イト「宿題、変わりましたか?」
- 先生「ごめんね。13ページに訂正したの。」
- イトは机に置いたノートの12ページに一本線を引き、その下に13ページと書く。「ノートも直しておこう。」
- ピコ「変わっていなければ、そのまま使えるよ。」
- イトはノートを閉じ、緑色の計算ドリルに取りかかる。「便利な写しも、ときどき確認だね!」
黒板が「元の情報」、ノートが「保存した控え」にあたります。Webでは有効期間や保存のルールに応じて使い方が変わり、毎回変更を問い合わせるとは限りません。変更があれば新しいデータを受け取り、控えを更新します。
漫画では、イトが宿題をノートに写すことで、黒板まで戻る手間を減らせました。Webでは、このノートにあたるのが、保存しておいた画像などのデータです。同じデータを再利用できれば、ダウンロードする量を減らせます。
Webのキャッシュは何を保存する?画像・CSSの再利用
たとえば、いつも見るサイトのロゴ画像です。ページを移動しても同じロゴを使うなら、一度受け取った画像を保存し、次の表示にも使える場合があります。
文字の色や配置を決めるCSS、ページ上の動きを作るJavaScriptなども、キャッシュに保存されるデータの例です。何を保存し、いつまで再利用できるかは、サイトやアプリのルールによって変わります。
ここではWebのキャッシュを中心に説明します。ブラウザ内の保存に絞って知りたい場合は、ブラウザキャッシュとはへ進めます。
キャッシュで表示が速くなる理由
初めてページを開くときは、画像などのデータをサーバーから受け取ります。次に開くとき、保存済みのデータを使えれば、その分のダウンロードを省けます。これが、表示が速くなる理由の一つです。
また、データを配る側でも、同じ結果を毎回作らず、保存した結果を返すことで処理を減らせます。「通信を減らす」「作り直す処理を減らす」という二つの効果があります。
イト
キャッシュがあれば、次はページが全部すぐに出るの?
ピコ
使い直せるデータは速く出せるよ。でも、新しく受け取る部分や、画面を作る処理は残るんだ
キャッシュだけでページ全体の速さが決まるわけではありません。通信の状態や、端末で動くプログラムの重さなども関係します。
補足:ラボの「近くの棚」の図で見る
ノートの写しと同じ再利用の考え方を、ラボでは「よく使う材料を近くの棚に置く」図でも表しています。本館まで取りに行く手間を減らす、という部分に注目してください。

このたとえを物語で読むなら、第47話のキャッシュ棚へ。
キャッシュはどこに保存される?
キャッシュは、自分のスマホやパソコンだけにあるとは限りません。データを届ける途中や、サイトを動かすサーバーにも置かれます。
| 保存場所 | 役割と保存するものの例 |
|---|---|
| ブラウザ | 自分の端末に画像やCSSなどを保存し、次の表示に使う |
| アプリ | アプリが使う画像や表示用のデータを保存する |
| CDN | 利用者へデータを届ける配信拠点に、画像などの控えを置く |
| サーバー | ページを作った結果や検索結果などを保存し、処理を減らす |
CDNは、複数の配信拠点からデータを届ける仕組みです。詳しくはCDNとはで説明しています。ブラウザがデータを頼み、サーバーが返す関係は、クライアントとサーバーで確かめられます。
ユイ
自分のブラウザのキャッシュを消しても、サイト側の控えは残るんですね
マコト
そう。『消したのに変わらない』ときは、どこにある控えを消したかも確かめたいね
キャッシュに古い画像や画面が残るのはなぜ?
漫画では、黒板の宿題が13ページに変わっても、イトのノートは12ページのままでした。Webでも、元の画像などが更新されたあと、保存済みの控えを使い続けると、以前の表示が残ることがあります。
Webのキャッシュには、再利用できる期間や、変更を確かめるルールがあります。ブラウザやサーバーがそれに従って処理するため、利用者が毎回手作業で確認するわけではありません。
サイトを見る人は、まず別の環境と比べる
古い表示に気づいたら、次の順で確認します。
- 同じURLのページを、別のブラウザや端末でも開く。
- 自分の環境だけ古いのか、ほかでも同じなのかを比べる。
- 自分の環境だけなら、使っているブラウザのキャッシュを確認する。ほかでも古ければ、サイトの更新状況を確認し、必要なら運営者へ伝える。
これは原因を絞る手がかりです。ログイン状態などによって表示が違う場合もあるので、比較だけでキャッシュが原因だとは断定できません。「ページが見つからない」と出る場合は、404エラーの意味が別の確認先です。
サイト管理者向け:公開ファイル・配信拠点・サーバーを確認する
新しいファイルが公開先に置かれているかを確かめたうえで、どの場所に古い控えがあるかを調べます。
- 公開したファイルと、ページが読み込むファイルのURLが合っているか。
- CDNの配信拠点に、古いキャッシュが残っていないか。
- サーバーが、保存済みの古い処理結果を返していないか。
CDNの控えを消す操作は「パージ」と呼ばれます。ブラウザのキャッシュ削除とは対象が違います。実行する場合は、使っているサービスの手順と対象範囲を確認します。
開発者ツールを使える場合は、Network(通信の一覧)で、画像などがキャッシュから使われたかを確認できます。変更確認に対して「304 Not Modified」が返るのは、保存済みのデータを再利用できると応答された場合です。データ本体を全部送り直す通信とは異なります。
補足:元のデータと古い控えを図で比べる

キャッシュとCookieの違い
キャッシュとCookieは、どちらもブラウザに保存されることがありますが、目的が違います。
| 言葉 | 主な役割 | 身近な例 |
|---|---|---|
| キャッシュ | データを再利用して、通信や処理を減らす | 前に受け取ったロゴ画像を使う |
| Cookie | サイトが利用者の状態や設定を扱うための小さな記録 | ログイン状態を見分けるためのIDを保存する |
古い画像が残る問題と、ログイン状態が変わる問題は、同じ原因とは限りません。「キャッシュとCookieをまとめて削除する」設定もあるので、消す対象を確認してください。役割の詳しい説明はCookieとはへ進めます。
キャッシュを削除するとどうなる?
キャッシュを削除すると、保存していた控えがなくなります。次に必要になったときはデータを取り直すため、古い表示が直ることもあれば、最初の読み込みが一時的に遅くなることもあります。
削除は控えを捨てること、更新は新しい内容に入れ替えることです。漫画のノートを書き直す場面は更新にあたります。キャッシュは、消すほどいつでも速くなるものではありません。
ブラウザ、アプリ、配信拠点では、消える控えの範囲が違います。削除の影響を知りたいときは、キャッシュを消すとどうなる?で対象を確認できます。
キャッシュのよくある疑問
Q1. キャッシュは毎回、元の情報を確認しますか?
必ず毎回ではありません。Webでは、再利用できる期間や保存のルールに従い、確認せず使う場合と、変更を確かめてから使う場合があります。
Q2. キャッシュを削除したのに、古い表示が残るのはなぜ?
別の場所に古いキャッシュが残っている場合や、元のデータがまだ更新されていない場合などがあります。どこのキャッシュを削除したかと、ほかの環境でも同じ表示かを確認します。
Q3. キャッシュとCookieは同じものですか?
いいえ。キャッシュは再利用するデータの控え、Cookieはサイトがログイン状態や設定などを扱うための小さな記録です。
家族に説明するときは、「黒板の宿題をノートに写すと便利。でも、黒板が変わってもノートは前のまま」という場面を思い出すと伝えやすくなります。
この記事について
LAB WHITEBOARD
自分の言葉で説明してみよう
「キャッシュの役割、置き場所、古い表示が残る理由を分け、トラブル時にどこを確認するか説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。




