テレビのアニメはどこから来る? / 第36話

第36話:イトは、いちばん重い鎧を深海から岸へ戻した|海底ケーブルの守り方

ピコルート第36話。イトは最も重い鎧を深海へ集め、岸近くの錨に負けます。海底調査を読み直し、避ける・埋める・鎧を変える・増幅する・直せる余地を場所ごとに置き直す物語です。

海底ケーブルの保護海底ルート調査埋設と鎧中継器と修理11分更新

海外の制作者へ届いた、四十二秒の応援動画。

その返事は、青い星の形をした小さな受領印だった。

イトは手元へ戻った星を、次の試験tokenへ写した。

港ラボの床に、海底ケーブルの試験routeが開いた。

岸から深海へ下り、海溝を越え、反対側の岸へ上がる。

夜明けまでに、青い星を壊さず渡せる保護planを作る。

イトの前には、三種類のcable模型が並んだ。

使える重い鎧は、岸から岸までの一部だけ。

イトは、最も深い場所へ鎧を集めた

海底図の中央が、黒に近い青で沈んでいる。

最深部。

水圧計の針も、そこだけ大きく振れていた。

イトは、一番重いcable模型を持ち上げた。

「深いところが、一番危ない。ここを一番厚くすればいい」

重い鎧を、海溝の底へ一つ。

その前後にも一つずつ。

岸近くには、細いdeep-water cableを残した。

見た目は強そうだった。

暗い深海の中心だけが、太い金属で光っている。

残り、三分。

イトが試験leverを倒した。

青い星は、日本側の陸揚局から海へ入った。

砂浜の下を抜ける。

浅い海へ出る。

そのとき、海面の船から錨の影が落ちた。

錨は海底を引きずられ、細いcable模型を横からつかんだ。

赤い線が走る。

青い星は、深海へ着く前に消えた。

深海の鎧は、岸の錨を止められなかった

イトは、海溝に置いた三つの重い鎧を見た。

どれも無傷だ。

守る相手が、まだそこまで来ていなかった。

「深さだけを見てた」

マコトが、切れた場所に二枚の札を置いた。

水深:浅い 人の活動:多い

海底ケーブルを脅かすものは、水圧だけではない。

船の錨、海底に触れる漁具、摩耗、海底地形、地震や斜面の動き、既にあるcableやpipeとの交差。

危険の種類は、場所で変わる。

ICPCのBest Practicesも、漁業と錨への対策として、危険区域を避けるroute設計、armouring、海底条件が許す場所でのburial、船や漁業者への周知を組み合わせている。

鎧を厚くする前に、危険へ近づかない道を探せる。

埋められる海底なら、cableを海底面の下へ置ける。

それでも残る危険に、場所に合うcable protectionを選ぶ。

守り方は、一枚の服ではなかった。

海底ケーブルは、敷く前から守り始める

ユイが、最初のroute図を裏返した。

その下に、調査layerが隠れていた。

ITU-T G.971は、敷設前のsubmarine route surveyで水深、海底の形と性質、既設設備、故障履歴、漁業・採掘、海流、地震活動、法制度などを調べるとしている。

調査は、最短の青線を引くためだけではない。

どこを避けるか。

どこを埋められるか。

どこで鎧を変えるか。

敷設、回収、修理の船がどこへ近づけるか。

routeと守り方を、同じ海底図で決めるためにある。

イトは、最初に引いた直線を消した。

錨を下ろす区域から、青線を離す。

けれど、まだ重い鎧は深海に置いたままだった。

細いdeep-water cableも、裸のfiberではない

ピコが三種類の断面模型を大きくした。

どの中心にも、光を運ぶfiberがある。

その周囲には、fiberをまとめる構造、water barrier、strength member、給電が必要なsystemでは電気を運ぶ導体、外側の被覆が重なる。

見た目が細いdeep-water cableも、裸のglassではない。

ITU-T G.978は、submarine cableが設計寿命を通してfiberを水圧、水の長手方向への侵入、化学的な影響、hydrogen contaminationから守るよう設計されるとしている。

さらに、敷設、burial、回収、運用でfiber性能を損なわない機械特性も必要になる。

そこへ、場所に応じた追加の鎧を重ねる。

G.978は代表的な保護classとして、lightweight、lightweight protected、single armoured、double armoured、rock armouredを分けている。

浅い海の特定区域にarmoured cableを使い、特別な保護を必要としないdeep-water区間でlightweight cableを使う設計例がある。

ただし、名称だけで現場の選択は決まらない。

実際のdepth、海底、敷設方法、system仕様に合わせる。

「太いほど、どこでも正解」ではない。

海の途中の銀色の筒は、鎧ではない

海溝の先に、銀色の筒が等間隔で並んでいる。

イトは、その一つへ重い鎧を重ねようとした。

ピコは止めず、筒の前後に光powerのmeterを出した。

長いfiberを進む光は、少しずつ弱くなる。

long-haulのrepeatered systemでは、海中のrepeaterにあるoptical amplifierが、次の区間へ進めるよう光信号を支える。

ITUのdesign guidelineも、repeatered、repeaterless、optically amplified submarine systemを分けて設計している。

銀色の筒は、錨を跳ね返すための盾ではない。

弱くなる信号を支える役割だ。

もちろん筒自体には、水や圧力から内部を守る構造が必要になる。

けれど、信号を保つことと物理的に切られにくくすることは別の問題だった。

残り、一分四十秒。

イトが選べる三つの守り方

青い星は、切れた岸の手前へ戻されている。

ピコが三枚のplanを置いた。

  1. 全区間を最も重い鎧にする
  2. 岸から岸まで全部埋める
  3. 調査layerごとに守り方を変える

一枚目は、今回使える重いcableの長さを超える。

それだけではない。重量、敷設、回収、曲げ、system仕様を無視して、最重装を全depthの既定にはできない。

二枚目は、柔らかい海底なら選べる場所がある。

けれど、岩、急斜面、深海など、同じ方法で埋められない場所もある。

三枚目なら、危険を避けたrouteを先に選び、残った危険へburialとarmourを割り当て、deep waterでは適合するcableへ切り替えられる。

repeaterは、物理的な鎧ではなく、光の設計として置ける。

さらに、故障に備えるspare cableを船に残せる。

イトは、海溝に集めた重い鎧を一つ持ち上げた。

「深いところへ全部置くんじゃない」

三枚目のplanへ置く。

「危険が違うなら、守り方も変える」

イトは、重い鎧を岸へ戻した

残り、一分十二秒。

イトはroute surveyのlayerを一枚ずつ開いた。

最初に、錨を下ろす区域からrouteを離した。

次に、柔らかい海底が続く岸近くへburialの溝を置いた。

溝へ入るまでの浅い区間に、深海から戻したarmoured cableを置く。

岩の露出する狭い場所は、無理に埋めず、調査で選んだ保護classへ替えた。

深海では、水圧と敷設条件に合うdeep-water cableへつなぐ。

銀色のrepeaterは、決められた光のspanに残す。

最後に、重いcableを一巻き、repair shipのspare tankへ戻した。

ピコは何も動かさず、イトが変えた五つの場所を照らした。

イトが深海側から外した重い鎧のcable区間を岸近くの錨区域より内側へ戻し、routeを錨から離して柔らかい海底の溝へ入れ、深海には細いcableと銀色のrepeaterを残している
最重装を深海へ集めず、まず錨を避ける。岸近くは埋設とarmour、深海は適合するcable、銀色の筒は光を支えるrepeaterとして役割を分ける。

残り、四十六秒。

イトが試験leverを倒した。

青い星は、今度こそ深海へ下りた

青い星が、日本側の陸揚局から海へ入る。

錨の影が落ちた。

routeは、その区域の外を通っている。

浅い海では、armoured cableが海底の溝へ沈む。

錨の爪は、青い線へ届かなかった。

海底が急に深くなる。

太い鎧から、細いdeep-water cableへ切り替わる。

水圧計は上がった。

防水と圧力の試験lampは緑を保った。

長い距離で光powerが下がる。

銀色のrepeaterを越えると、次のspanへ青い合図が進んだ。

海溝を越える。

反対側の浅い海で、もう一度armoured sectionへ替わる。

青い星が、海外側の陸揚局へ上がった。

route試験完了 青い星を受信

残り、十一秒。

壊れない一本ではなく、壊れても戻せる道

イトは、成功した青線を見て、すべての警告札を閉じようとした。

一枚だけ閉じない。

予測できない故障

調査しても、避けても、埋めても、鎧を着せても、すべての損傷を防げるわけではない。

ICPCも、submarine cableをあらゆる悪意・事故からarmorとburialだけで守り切ることはできないと境界を置いている。

故障した場所を調べる。

repair shipが現場へ行く。

必要ならcableを回収し、spare sectionでつなぎ直す。

ITU-T G.971は、cable shipをcableとrepeaterの敷設・修理に使うと説明している。

だからイトは、spare tankを空にしなかった。

別の地域へ離れたrouteやlandingを持つことも、一つの出来事で全部が止まるriskを減らす。

ただし、それは次のnetwork設計の話だ。

海底ケーブルの守りは、「最も太い一本」で終わらない。

敷く前に調べる。

危険を避ける。

埋められる場所で埋める。

場所に合うcableを使う。

光を支える。

壊れたときに直せるようにする。

海外側の陸揚局で、青い星がもう一度灯った。

その横には、まだ使っていないrepair spoolが一巻き残っていた。

次回:海外の岸から、どのnetworkへ入る?

青い星は海から上がった。

けれど、その先には一本の道ではなく、色の違うnetwork gateが並んでいる。

現地の通信事業者。

別の国へ続くbackbone。

contentを持つserviceのnetwork。

gateの前で、青い星が止まった。

イトは世界地図を広げた。

「海を越えたあと、どのnetworkへ渡せば相手まで届くんだろう」

次回、ピコルート第37話。

国をまたぐ通信はどこでつながる?

海底ケーブルの全体像を図で確かめる

物語で分けたroute survey、burial、armour、repeater、repair、landing stationを整理するなら、海底ケーブルの仕組みで海の道の全体図を確かめられます。

この物語を、解説で深める

第36話で生まれた疑問を、解説記事で少し深く見ていきます。物語で感じた不思議さを残したまま、言葉と仕組みを順番に整理しましょう。

海底ケーブルの仕組み|光と電気で海を渡る通信の道を読む