第70話の見学車が出たあと、イトは青い絵のdata tileを第71話の作業台へ置いた。
透明なtileの中では、八つのlampが二つの状態を作っている。
bright | dark | bright | bright | bright | bright | dark | dark
上のscreenに現れたのは、さっきの青い絵ではなかった。
輪郭が崩れた、orangeの四角だ。
イトは、暗いlampへ指を置いた。
「消えてるところを全部点ければ、dataが戻るかも」
0は欠けている。
1は入っている。
そんなふうに見えた。
32枚へ写る前に
作業台の奥で、copy gateが回り始めた。
26秒後、このbit rowを次の見学用tile 32枚へ複製する。
間違ったまま通せば、orangeの四角が32枚になる。
全部のlampを点けて別の並びにすれば、その並びが32枚になる。
screenだけ青く塗っても、tileの中身は変わらない。
ユイは、複製前の二つの記録を固定した。
expected 1 0 1 1 0 1 0 0
observed 1 0 1 1 1 1 0 0
decoder palette-v1
イト
暗いlampは三つある。でも違うのは一つだけだ
ユイ
暗いか明るいかと、正しいか間違いかを分けてください
マコト
まず、この並びを何として読む約束なのかも外さないようにしよう
残り21秒。
ピコは修正switchへ触れなかった。
作業台の上へ、三つの保護枠だけを出した。
三つの直し方
A:暗いlampを全部、明るくする
0を欠けと決め、すべて1へ変える。見た目は明るくなるが、expected rowとはさらに離れる。
1 1 1 1 1 1 1 1
B:screenの四角だけ、青く描き直す
目の前の絵は戻せる。だが、wrong bit rowがcopy gateを通り、次に読むとまた違う結果になる。
C:decoderを固定し、同じpositionだけを比べる
expectedとobservedを左から一つずつ重ね、違うpositionだけを、expectedの二状態へ戻す。
残り16秒。
イトはAのall-on coverを閉じた。
Bのpaint layerも外した。
「C。0を消さない。違う一箇所だけを戻す」
イトは自分の手で、二本のrowを左端から重ね始めた。
Bitは、0か1のbinary digit
一つのpositionだけを見る。
そこが持てる値は、0または1。
このbinary digitを bit と呼ぶ。
one bit -> 0 or 1
このlabでは、二つの状態をlampのdark / brightで見えるようにしている。
けれど、computerの中に小さな数字札や同じlampが必ず入っている、という意味ではない。
実際の機器は、その設計で区別できる二状態を使い、こちらが0と1として扱う。
大事なのは、0が空白や故障を意味しないことだ。
1も、正解や成功を意味しない。
どちらも、bitが取れる正当な値だ。
並びには、順番がある
一つのbitだけなら、候補は二つ。
二つを順に並べれば、00、01、10、11の四通り。
三つなら八通り。
ただし、数が増えることより先に守るものがある。
何番目が0で、何番目が1か。
bit stringは、0と1のただの山ではなく、順番を持つ並びだ。
イトはposition markerを左から送った。
position 1 2 3 4 5 6 7 8
expected 1 0 1 1 0 1 0 0
observed 1 0 1 1 1 1 0 0
match = = = = x = = =
違うのは、左から5番目だけ。
そしてexpectedは0、observedは1だった。
青い絵を戻すには、暗いlampを点けるのではない。
明るいlampを一つ、消す。
イトが1を0へ戻した
残り9秒。
イトは、5番目のbright lampへ指を置いた。
all-on switchには触れない。
screenのpaint toolにも戻らない。
自分の手で、5番目だけを1から0へ切り替えた。

Picoは、5番目の二本のcolumnへ細いcyanの輪を置いただけだった。
選び、比較し、switchを切り替えたのはイトだ。
rowが一致する。
expected 10110100
observed after fix 10110100
changed positions 1
extra flips 0
screen repaint 0
screenのorange squareがほどけ、青い絵へ戻った。
copy gateは、correct rowだけを32枚へ複製した。
copied tiles 32
blue result 32
orange result 0
同じ並びでも、読む規則を外さない
copy gateが止まると、イトは10110100を別の観測窓へ移した。
さっきのpalette-v1では、青い絵を選ぶためのpatternとして読んだ。
別のunsigned-number-v1へ入れると、同じ八つのbitは数の180として読まれた。
並びが勝手に絵や数へ変身したのではない。
同じbit stringを、どの位置関係と規則で解釈するかが違う。
この二つは、説明用のclosed fixtureだ。実際の画像、文字、音には、それぞれ形式やencodingの規則があり、八つのbitだけで作品全部を表せるわけではない。
ユイ
0と1だけを見ず、expected、position、decoderを一緒に残せました
マコト
1を増やしたから直ったんじゃない。正しい場所を正しい二状態へ戻したんだ
イト
0は欠け、1は正解じゃない。bitは二状態のどちらか。意味は並びと読む規則で決まる
八つのlampが、一つの箱へ沈んだ
32枚のcopyが棚へ移ると、作業台に元の八つだけが残った。
lampの間から仕切りが上がる。
一つずつ離れていたbitが、八つのslotを持つ透明な箱へ収まった。
[1][0][1][1][0][1][0][0]
箱の横に、まだ伏せられたname plateがある。
イトは開こうとして、手を止めた。
「八つを一つにするのは、数えやすいからだけ?」
箱は答えず、青い絵の一片と180の札を同時に映した。
同じ八つが、次はfileの大きさや文字の入口にもなるらしい。
イトは、一つも足さず、一つも消さず、八つの並びごと箱を持ち上げた。
次回、ピコルート第72話。
8bitの箱は、なぜbyteと呼ばれる?

