TERM PRIMER
先に知っておく言葉
ユイ
VPNは安全になる、だけで覚えると広すぎる言葉ですね
イト
暗号化の机の先に、VPNって書かれたトンネルがあったよ
ピコ
VPNは、通信を別の通り道に通す仕組みだよ。まず何を通すのかを見よう
VPNとは、端末とVPNサーバーの間に暗号化された通信トンネルを作り、通信の通り道を変える仕組みです。
外出先のWi-Fiから会社のネットワークに接続する、通信経路の一部を保護する、接続元の見え方を変える、といった場面で使われます。ただし、VPNを使えば何でも安全になるわけではありません。VPNで守りやすくなる範囲と、HTTPSやフィッシング対策で見る範囲は分けて考えます。
第55話では、暗号化の机の先にある「VPNトンネル」をくぐります。通信がどこを通り、どこから外へ出るのかを、画面のむこう側の地図として順序立てて確かめます。
VPNを先にいうと
VPNは、Virtual Private Networkの略で、仮想的な専用ネットワークを作る仕組みです。
安全な通信との違いを整理するには、HTTPSとは と SSL/TLSとは を先に横に置くと、守る範囲の違いが見えます。 たとえば、外出先の端末からVPNサーバーまで鍵付きのトンネルを作ります。端末の通信はそのトンネルを通ってVPNサーバーに届き、そこから目的のサイトや会社のネットワークへ向かう場合があります。
ラボのたとえでは、普通の道をそのまま走るのではなく、いったん鍵付きトンネルへ入り、出口を通って目的地へ向かうイメージです。トンネルの中では通信が暗号化される場合がありますが、トンネルを出た先の扱いは別に考えます。

VPNはどこで何を守るのか
VPNは、いくつかの場面で使われます。
| 場面 | 何をしたいか |
|---|---|
| 会社のネットワークに接続 | 社外から社内システムへ安全に入る |
| 外出先Wi-Fiで使う | Wi-Fi区間などの通信保護を助ける |
| 拠点同士をつなぐ | 離れたオフィス間を一つのネットワークのように扱う |
| 個人向けVPNサービス | 通信経路や接続元の見え方を変える |
| 開発や検証 | 特定のネットワーク内サービスに接続する |
仕事用VPNと個人向けVPNでは目的が違うことがあります。会社のVPNは、社内ネットワークへ入るための入口として使われる場合があります。個人向けVPNは、通信経路を変えたり、外出先の通信保護を助けたりする目的で使われることがあります。
VPNで通信はどう流れるか
VPNを使うと、通信の流れは次のように変わります。
- 端末がVPNに接続する
- 端末とVPNサーバーの間に暗号化されたトンネルができる
- 通信がVPNサーバーまで通る
- VPNサーバーから目的のサイトや社内サービスへ向かう
- 返事もVPNサーバーを通って端末へ戻る
この流れでは、端末からVPNサーバーまでの区間を守りやすくなります。外出先Wi-Fiなどで、同じネットワーク上の人に通信内容をそのまま見られにくくする助けになります。
ただし、VPNサーバーから先の通信や、アクセス先のサイトで何をするかは別の話です。HTTPSで守られているか、入力先が本物か、アカウントが安全かも合わせて見ます。
マコト
VPNはトンネルの中を守るけれど、出口の先まで全部を保証するわけではないんだね
ユイ
トンネル、出口、入力先を分けると誤解しにくくなりますね
HTTPSとの違い
VPNとHTTPSは、どちらも通信の安全に関係しますが、見る場所が違います。
| 仕組み | 主に見る場所 |
|---|---|
| VPN | 端末からVPNサーバーまでのトンネルや通信経路 |
| HTTPS | ブラウザとWebサーバーの通信路 |
HTTPSは、Webサイトとの通信をTLSで守る仕組みです。VPNは、通信をVPNサーバーへ通すためのトンネルを作ります。両方が同時に使われることもあります。
たとえば、VPNにつないだ状態でHTTPSのサイトを開くと、端末からVPNサーバーまでのトンネルと、ブラウザからWebサーバーまでのHTTPSが関係します。どちらも「安全そうなもの」とまとめず、どの区間を守っているのかを分けると理解しやすくなります。

VPNでできることとできないこと
VPNでできることの例は、次のとおりです。
- 外出先から会社のネットワークに接続する
- 端末からVPNサーバーまでの通信を保護しやすくする
- 通信経路や接続元IPアドレスの見え方を変える
- 特定のネットワーク内サービスへ入る
- 公衆Wi-Fi利用時のリスクを一部下げる
一方で、VPNだけでは解決しないこともあります。
- 偽サイトを見抜くこと
- 入力したパスワードや確認コードを守ること
- VPN提供者を信頼できるかどうかの問題
- 端末がウイルスや不正アプリに感染している場合の危険
- サービス側のアカウント乗っ取り
- HTTPSではない通信の行き先側の扱い
VPNを使うと、VPN提供者や会社のVPNサーバーを経由します。つまり、どのVPNを信頼するかも大事です。無料か有料かだけで判断せず、運営元、目的、ログの扱い、仕事のルールなどを確認します。
VPN接続で困ったときの見方
VPN接続で困ったときは、どこで止まっているかを分けます。
- VPNアプリやOSの設定で接続できているか
- ユーザー名、パスワード、証明書、2段階認証が合っているか
- 自宅や外出先の回線がつながっているか
- 会社やVPNサービス側に障害がないか
- 接続後、目的のサービスのポートや権限が開いているか
VPNへつながっても、目的のサービスに入れない場合があります。そのときは、VPN自体ではなく、社内サービスの権限、ファイアウォール、ポート番号、DNS設定などが関係することがあります。
VPN確認ワークとクイズ
自分が見たことのあるVPN画面を思い浮かべて、次の三つを分けてみてください。
- どこからVPNに接続しているか
- どのVPNサーバーや会社ネットワークへ入っているか
- VPN接続後に、どのサービスへアクセスしたいか
Q1. VPNを一文でいうと?
VPNは、端末とVPNサーバーの間に暗号化された通信トンネルを作り、通信の通り道を変える仕組みです。
Q2. VPNとHTTPSは同じものですか?
いいえ。VPNは通信をVPNサーバーへ通すトンネル、HTTPSはWebサイトとの通信路を守る仕組みです。
Q3. VPNを使えばフィッシングの心配はなくなりますか?
いいえ。偽サイトに自分で情報を入力する危険は残ります。VPNと入力先の確認は分けて考えます。
VPNから次へ進む記事
VPNを物語で復習するなら 第55話:VPNはどんな通信トンネル? へ進んでください。VPN接続後に「どのサービスの入口へ行くか」を知るなら ポート番号とは が続きます。
通信路の保護に戻るなら SSL/TLSとは、ブラウザで見えるHTTPSの意味を整理するなら HTTPSとは が近い記事です。
VPNを使うか迷う場面そのものを見直すなら、無料Wi-Fiはなぜ危ないと言われるか が、カフェのWi-Fiで実際に何が見えて何が見えないのかを分けて整理しています。
ラボのホワイトボードに一行だけ残すなら、こうです。
VPN = 通信をVPNサーバーまでの鍵付きトンネルに通し、通り道を変える仕組み
LAB WHITEBOARD
自分の言葉で説明してみよう
「VPNが通信を別のトンネルに通す仕組みであること、使われる場面、HTTPSやフィッシング対策との違い、できることとできないことを説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。




