TERM PRIMER
先に知っておく言葉
ピコ
上から見て。ユイのスマホの電波は、あの屋上の基地局まで飛んでるよ
ユイ
そこから先も、電波のまま海のむこうまで飛んでいくんですよね?
基地局とは、スマホと電波でやりとりし、通信会社のネットワークへつなぐ設備です。ビルの屋上、鉄塔、電柱の上などに置かれます。スマホのアンテナ表示は、接続候補となる基地局からの電波状態を見る手がかりです。
ここで整理したいのは、手元のスマホから世界中のサーバーまで一つの電波で飛ぶわけではないことです。スマホは基地局と無線でつながり、その先は光ファイバーなどを中心とする通信会社のネットワークへ引き継がれます。設備や地域によっては、基地局側の中継に無線を使う区間もあります。
この入口から世界の道へ広がる様子は、第69話「インターネットはどこまで広がる?」で先に見られます。
基地局の役割を一言でいうと
基地局の役割は、スマホとの無線区間を通信会社のネットワークへつなぐ乗り換え地点になることです。
スマホは、ケーブルを挿さずに通信します。基地局はその電波を受け、携帯電話網の設備へデータを渡します。基地局から先は光ファイバーなどの有線が中心ですが、構成によって無線中継も使われます。大切なのは、手元の無線区間と、その先の広域ネットワークを分けることです。
ピコルート・ラボの窓から見える鉄塔も、その一つです。見た目はただの鉄の柱ですが、そこがスマホにとっての玄関口になっています。データがその先どう運ばれるかは データ通信の仕組み で追えます。
街灯のたとえで見る、届く範囲の重ね方
たとえでいうと、基地局は街に立つ街灯です。1本の街灯で街全体を照らすことはできません。だから、届く範囲が少しずつ重なるように、間隔を置いて並べます。
- 1本の届く範囲には限りがある
- 範囲の端は暗くなる(電波が弱くなる)
- 隙間を作らないよう、範囲を重ねて配置する
- 明るくしたい場所ほど、密に並べる
ただし実際には、街灯と違って基地局は双方向です。照らすだけでなく、スマホからの電波を受け取ってもいます。さらに、光は壁で止まりますが、電波は壁をある程度通り抜けながら弱まっていきます。この「弱まりながら通る」性質が、圏外になるのはなぜ? で扱う場所ごとの差につながります。
電波が届いたあとの流れはどうなる
スマホから出た電波が基地局に届いたあと、データは次のように進みます。
- スマホが電波で基地局へデータを送る
- 基地局が受け取り、通信会社の中継網へ渡す
- 携帯電話会社の設備を通り、インターネットへ出る
- 光ファイバーなどを中心とする経路で目的のサーバーへ進む
- 返ってきたデータもネットワークを通ってスマホへ戻る
画面のむこう側では、この2番目で手元の無線区間から広域ネットワークへ切り替わります。海外のサイトを見るときは、その先の経路に海底ケーブルが含まれることもあります。
ピコ
基地局から先は、主に光ファイバーなどの広い通信網へ入るよ
ユイ
スマホから見える無線は入口なんですね。ノートに書き直します
電波で世界まで飛ぶという誤解
よくある誤解が、スマホの電波が同じまま目的地まで飛んでいくという見方です。実際にはスマホが基地局へ無線で接続し、その先は通信会社とインターネットの複数設備へ引き継がれます。
この誤解を持ったままだと、いくつかの現象が説明できなくなります。
| 現象 | 電波が世界まで飛ぶ説では | 実際の説明 |
|---|---|---|
| 山の上でも圏外になる | 遮るものがなく届くはず | 近くに基地局がない |
| 海外のサイトも普通に見られる | 電波が届く距離を超えている | 基地局から先は広域ネットワークへ入る |
| 同じ場所で人が増えると遅い | 電波の強さは変わらないはず | 基地局を分け合っている |
無線区間と有線区間を分けて考えると、この3つがすべて同じ地図の上で説明できます。回線の入口が二つある話は モバイル回線とWi-Fi とつながります。
移動中に基地局が入れ替わる仕組み
電車で移動しながら通話していても、途中で切れないことがあります。1つの基地局の範囲を出るとき、次の基地局へ受け渡されているからです。
街灯の下を歩くとき、1本目の明かりが弱くなるころ、2本目の明かりが届き始めます。重なりがあるから、暗闇を通らずに歩けます。基地局も同じ考え方で配置され、端末は近くの電波の強さを見ながら相手を替えていきます。
ただし、受け渡しがうまくいかない場合もあります。トンネルに入る、地下へ降りる、山の裏側へ回るなど、次の相手が見つからない場所では通話が切れることがあります。移動中に切れやすい場所があるのは、この受け渡しの隙間が理由になっている場合があります。
街と山で密度が違うのはどこの話か
基地局の数は、場所によって大きく違います。理由は、届く範囲と使う人の数の両方にあります。
- 街なか: 建物が遮るうえ、使う人が多い。範囲の狭い基地局を密に置く
- 郊外や山間部: 遮るものは少ないが、使う人も少ない。広めの範囲を少ない数で受け持つ
- 屋内や地下: 外からの電波が届きにくいため、専用の設備が置かれることがある
ここで大事なのが、1つの基地局を同時に使う人が増えると、通信の余裕を分け合うことです。イベント会場でつながりにくくなるのは、電波が弱いからではなく、同じ窓口に人が集中しているためである場合があります。
だから、街なかで基地局が密に並んでいるのは、電波が届かないからだけではありません。1本あたりが受け持つ人数を減らす意味もあります。街灯を増やす理由が「暗いから」だけでなく「通る人が多いから」でもあるのと似ています。
近所で基地局を探すワーク
通勤路や近所を歩きながら、それらしい設備を探してみてください。特徴を3つ挙げます。
- ビルの屋上に立つ、細長い板状や筒状のアンテナ
- 鉄塔の上部に、複数の方向へ向いた機器がついているもの
- 電柱の上に、箱と小さなアンテナが組み合わさっているもの
見つけたら、そこから自分の家までの距離と、あいだにある建物を思い浮かべてください。電波の強さの理由が、風景として見えてきます。ラボの近くを歩いたユイは、毎日通っていた道に3つ見つけたそうです。
基地局から進む記事
基地局を知ると、街の風景が少し変わります。屋上の細長い板が、自分のスマホの話し相手だと分かるからです。
- データ通信の仕組み: 基地局から先の道をたどります。
- モバイル回線とWi-Fi: 入口の違いを見比べます。
- 圏外になるのはなぜ?: 話し相手が見つからない状態を見ます。
- IPアドレスとは: データの宛先の書き方へ進みます。
手元の無線は最初の入口です。その先では、光ファイバーを中心とする通信網が長い道のりを支えています。
ミニクイズで基地局を言い直す
Q1. 基地局の役割を一言でいうと何ですか?
A. スマホとの無線のやりとりを受け取り、通信会社のネットワークへつなぐ乗り換え地点です。
Q2. スマホの電波は目的のサーバーまで飛びますか?
A. 同じ電波のまま目的地まで飛ぶわけではありません。基地局から通信会社の中継網へ入り、光ファイバーなどを中心とする経路を進みます。
Q3. 街なかに基地局が多いのはなぜですか?
A. 建物が電波を遮るうえ、使う人が多いためです。狭い範囲を重ねながら密に置きます。
LAB WHITEBOARD
自分の言葉で説明してみよう
「基地局がスマホと電波でやりとりする設備であり、その先は光ファイバー中心の通信網へ続きつつ、無線中継区間もあり得ると説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。




